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スタッフ
監督メッセージ
この映画は、1944年にペリリュー島という南海の小島で実際にあった出来事であるが、その小さな場所での戦闘が「戦場とはこんなにも苦しく、酷く、虚しい」と語りかける。戦場は、人が人を殺す場所でしかないのだ。 戦争という言葉でくくられるこの出来事が、このような時空の集積なのだとすると、そこに国家奉仕という大義を持って赴いた人々が肉体を消滅させていった事実に言葉を失う。生まれてきたことと同様に、死にも人それぞれの意味があると思うのだが、戦場にはそのような権利があったとは思えない。「負けると判っていた戦争をなぜ避けられなかったのか」との言葉によく出会う。しかし、負けなければ戦争に意味を見いだせたというのか。そもそも、勝利した側に、どれほどの幸せがもたらされたというのか。戦場からは只々大きな疑問しか見えてこない。
■監督 小栗 謙一 Ken'ichi Oguri
日本大学芸術学部映画学科卒業後、フリーランスの助監督として主に監督・中平康氏(1978年逝去)に師事。1981年、映像集団である(株)ディレクターズシステムを設立。
映画、長編TVドキュメンタリー、CM、ビデオ出版、博覧会などイベント映像と広く映像コンテンツの監督・プロデューサーとして活動する。著書に「ドキュメンタリーを作るということ」(TBSブリタニカ)がある。プロデュース作品として、2001年に公開された『日本鬼子 リーベン・クイズ』がある。
撮影も手がけ、本作に撮影クレジットされるK.P.マロンは監督本人である(Kenichi Petit Marron)。 主な作品は、『長風萬里』(1988年)、『阿吽抄』(1991年)、『able/エイブル』(2002年)、『Host Town/ホストタウン』(2004年)、『believe/ビリーブ』(2005年)、『TOKYO JOE』(2009年)、『幸せの太鼓を響かせて ~INCLUSION~』(2011年)、『流れる雲よ』(2011年)、『天心の譜』(2012年)などがあり、精力的に作品を発表している。
原作者メッセージ
私の故郷は、温泉で有名な熊本県玉名市である。熊本県立玉名中学校、旧制中学最後の第40回生の旧友たちに会った際、第八回卒業生の先輩。中川州男大佐の話を聞いた。ペリリュー島は「忘れた島」であり、今まで語られる事はなく、そしてその戦いを指揮した中川大佐は、地元でも知られてはいなかった。 及ばずながら、明治・大正・昭和を生きた中川州男という逸材を育んだ時代とその風土を展望し、敵将も賛美するほど壮絶に散っていったその生き様と死に様を力を込めて描いたのが、原作となった「愛の手紙~ペリリュー島玉砕~中川州男の生涯」である。 中川大佐(中将)をはじめ、故国を遠く離れた南洋の離島ペリリュー島に勇敢果敢に戦って散華した人々の冥福を祈って贈りたい。
■原作 升本 喜年 Nobutoshi Masumoto
1929年生まれ。熊本県玉名出身。日本大学芸術学部(映画学科)卒業後、早稲田大学大学院(演劇学専攻)修了。
1954年、松竹大船撮影所にプロデューサー助手として入社。
1963年プロデューサー昇格、『大根と人参』(1965)、『アンコ椿は恋の花』(1965)、『男の顔は履歴書』(1966)、「コント55号」シリーズ(1968~)、『薄化粧』(1985)など、多くの作品を担当。松竹シナリオ研究所所長、松竹映像社取締役を経て、1988年、松竹退社。テレビドラマの企画制作会社「梟雄舎」を設立。著書に『紫陽花や山田五十鈴という女優』『田宮二郎、壮絶!』『女優・川田芳子の生涯』『女優 岡田嘉子』『人物・松竹映画史―蒲田の時代―』『松竹映画の栄光と崩壊―大船の時代―』『映画プロデューサー風雲録』など多数。
■音楽 小林 研一郎 Kenichiro Kobayashi
1940年、福島県いわき市小名浜に生まれる。東京芸術大学作曲科、指揮科を卒業。作曲を石桁眞礼生、指揮を渡邉暁雄 山田一雄の各氏に師事。
1974年第1回ブタペスト国際指揮者コンクール第1位、特別賞を受賞。「プラハの春」「ルツェルン・フェスティヴァル」等多くの音楽祭に出演するほかヨーロッパの一流オーケストラを多数指揮。ハンガリー国立交響楽団及びアムステルダム・フィルハーモニー管弦楽団 (現ネザーランド・フィル)のヨーロッパ、日本公演、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、日本フィルハーモニーのヨーロッパ公演に同行。ハンガリー国立響及びネザーランド・フィルのヨーロッパ、日本公演や、東京都響、読売日響、日本フィルのヨーロッパ公演の指揮者、国際指揮者コンクール審査員、都響正指揮者、東響客演指揮者、京都市響常任指揮者、ハンガリー国立響音楽総監督・常任指揮者、チェコ・フィル常任客演指揮者、日本フィル音楽監督、東京藝術大学指揮科教授などを歴任。ハンガリー政府よりリスト記念勲章、ハンガリー文化勲章を受賞。
そして、1994年には”星付中十字勲章”という民間人としては最高の勲章を授与された。現在、アーネム・フィル常任指揮者、ハンガリー国立フィル、名古屋フィル桂冠指揮者、マタヴ・ハンガリー交響楽団、九響の首席客演、東京音楽大学客員教授。
■プロデューサー 奥山 和由 Kazuyoshi Okuyama
1954年生まれ。20代後半からプロデューサーを務め、『ハチ公物語』(87年)をはじめ、北野武監督作『その男、狂暴につき』(89年)『ソナチネ』(93年)などを手がける。一方、北野武、竹中直人、坂東玉三郎それぞれを新人監督としてデビューさせる。
また今村昌平監督で製作した『うなぎ』では、第50回カンヌ国際映画祭パルムドール賞を受賞した。 94年には江戸川乱歩生誕100周年記念映画『RAMPO』を初監督、98年チームオクヤマ設立後第一弾の『地雷を踏んだらサヨウナラ』は、ロングラン記録を樹立した。
その後も『ラストゲーム~最後の早慶戦~』など多くの映画を製作。2014年10月、吉本興業とともに「株式会社KATSU-do(かつどう)」を設立。沖縄国際映画祭、京都国際映画祭のプロデュースとともに、伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014)を製作、終戦70周年記念作品『この国の空』(2015年8月8日公開)、『at Home』(2015年8月22日公開)他、次回作の準備に乗り出している。
■語り 美輪 明宏 Akihiro Miwa
1935年.長崎県出身。歌手、俳優、演出家。
小学校の頃から声楽を習い、16歳でプロの歌手として活動を始める。 銀座のシャンソン喫茶「銀巴里」を拠点にクラシック・シャンソン・タンゴ・ラテン・ジャズを歌って注目を集める。
1957年、「メケメケ」が大ヒット。また日本におけるシンガーソングライターの元祖として「ヨイトマケの唄」など多数の作品を手がける一方で、俳優、タレントとしても活躍。舞台・映画・テレビ・講演・著作と多方面で活躍。 演劇活動においても寺山修司の『毛皮のマリー』三島由紀夫と組んだ『黒蜥蝪』ほか数多くの作品に出演。近年では宮崎駿監督によるアニメーション映画「もののけ姫」「ハウルの動く城」での 声の出演 「紫の履歴書(水書房)」「人生ノート(パルコ出版)」「花言葉(パルコ出版)」ほか著書も多数。 波乱万丈な体験からくる、人生を語る言葉は、多くの人を勇気づけている。
2012年大晦日「NHK 紅白歌合戦」に初出場。時代を超えて愛される「ヨイトマケの唄」を披露した。
2014年からはNHK連続テレビ小説「花子とアン」の語りを担当し、2016年4月からはNHK『にほんごであそぼ』に新キャラクター「みわサン」として登場しています。