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物語

心にひろがる宇宙に向かって いま、自分探しの旅が始まる

 2010年、指揮者・小林研一郎が古希を迎え、障がいがある31名の演奏家を【コバケンとその仲間たちオーケストラ】に加え、コンサートを企画しました。その中に、自閉症で知的障害のある田口麻紀子がいました。
小さいころからバイオリンをはじめ、家ではCDの音をきっかけに弾き始めます。晴天の霹靂とも言えるこのコンサートで彼女は、世界の一線で活躍するバイオリン奏者の瀬﨑明日香、川畠成道、安倍真也、劇画家で声音家の池田理代子らとの共演が実現します。
障がいのある、なしにかかわらず、その人らしく活き活きと演奏してほしいとの趣旨で始まった半年の日々は、練習から公演まで小林研一郎氏との心を刺激しあう貴重な時間が流れました。

 この終始にカメラを向けたのが、2005年、長野県で開催されたスペシャルオリンピックス冬季世界大会の記録班として誕生した知的障がいのある9人の“ビリーブクルー”でした。

 2011年3月11日、震災と津波が私達を襲いました。 福島県いわき市出身の小林研一郎は「肉体を失った人々が、どんな思いで魂となったのか、それを思うと、今残されたものたちのことを考えることはとても…」と言葉を失います。

 2011年6月、経済的な危機が深刻なギリシャのアテネでスペシャルオリンピックス夏季世界大会が開催され、参加した日本選手団の中には震災で被災したアスリートがいました。小原愛美と棚橋直也。一旦は参加を断念した彼らが、世界大会で堂々と活躍するミッションを見事に果たしたのです。

 2011年秋、津波で校舎も楽器も失くした豊間中学校の生徒を前に、小林研一郎が特別授業を行っていました。即興のピアノ演奏を交え、強い気持ちで生きていくことを願ったのです。

本映画の半分ほどの映像は、ビリーブクルーのカメラによって構成されていることも特筆すべきことです。

コバケンとその仲間たちオーケストラ 演奏曲

◎交響曲「フィンランディア」 作曲:ジャン・シベリウス
◎歌劇「アイーダ」から「凱旋行進曲」 作曲:ジュゼッペ・ヴェルディ
◎「チゴイナーワイゼン」 作曲:パブロ・デ・サラサーテ バイオリン:瀬﨑明日香、川畠成道
◎序曲「1812年」 作曲:ピョートル・チャイコフスキー
◎歌劇トゥーランドットから「誰も寝てはならぬ」 作曲:ジャコモ・プッチーニ
◎「藤棚の下に」 作曲:小林研一郎 作詞:サトウハチロウ ソプラノ:池田理代子
◎組曲「パッサカリア」から「夏祭り」 作曲:小林研一郎
◎交響曲 第9番「新世界より」第4楽章 作曲:アントンニン・ドヴォルザーク

小林研一郎 ピアノ演奏曲

◎ピアノ協奏曲23番 作曲:ヴォルフガング・アマデウス・モーツアルト
◎『雨だれ』 作曲:フレデリック・フランソワ・ショパン

福島県いわき市立豊間中学校箏曲部 演奏曲

◎「華紋」 作曲:吉崎克彦